欧州ECHAはDOT(ラウレート系)を認可へ勧告(解説)
2021/01/20(水)
PVC製食品用器具・容器包装などの製造に使用されるスズ系安定剤として、告示第370号PVC材質別規格においてDBTが禁止される中、一般にDOTが使用されている。DOTには中心金属へ配位子の違いによりメルカプト系、ラウレート系がある。
欧州では、REACH制限に係る2009年6月4日欧州委員会決定2009/425/ECおいて、消費者製品に対するDBTの広い使用制限とDOTの一部使用制限が設定された。
その後欧州では、DBTからDOTへの規制拡大が見られ、2019年2月27日公表されたRAC-47議事録では、一部加盟国、業界団体の働きかけにも係らずDOT(メルカプト系)の生殖毒性1B分類が確定し、2019年10月1日認可に勧告された。
一方DOT(ラウレート系)については、2020年9月1日同じく生殖毒性1B分類を根拠にSVHC提案がなされ、同年10月16日期限の一般協議に付された。
https://echa.europa.eu/proposals-to-identify-substances-of-very-high-concern-previous-consultations/-/substance-rev/26201/del/50/col/staticField_-104/type/asc/pre/3/view
こうした中、昨2021年1月19日ECHAよりDOT(ラウレート系)の認可への勧告が公表された。
https://echa.europa.eu/-/candidate-list-updated-with-two-chemicals-that-are-toxic-for-reproduction
認可ルートによる今回の勧告が、国内PVC産業に直ちに影響するものではないと思われるが、DOT(ラウレート系)はDOT(メルカプト系)より広く使用されているとも聞くので、周辺情報として速やかに共有し、その影響範囲を確認することが必要である。